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東京都スキー指導者協会会長「雑感」

会長 和田 守義
 今年の夏は、ラニーニャ現象による猛烈な暑さが続いていましたが、今シーズンの冬も、このラニーニャ現象が継続して厳しい寒さと併せて大雪になる可能性があるそうです。スキーヤーとしては、大雪は大歓迎で、ぜひ予報どおりゲレンデに大雪を降らせて欲しいところです。

 今年6月の初めに新潟県上越市の金谷山にある「日本スキー発祥記念館」に行ってきました。皆さまご存じのように、1911年に本格的なスキー指導をオーストリア・ハンガリー帝国のレルヒ少佐から受けて今年で111年になります。その時レルヒ少佐を迎えたのが陸軍第13師団の長岡外史中将でした。その長岡外史中将の協力者で通訳を務めたのが山口十八参謀、後の陸軍少将でした。そのお嬢様と結婚されたのが当指導者協会の初代会長であります福岡孝行先生でした。福岡先生は、「オーストリアスキー教程」など多くの翻訳書を世に送り出し、オーストリアスキー技術の導入に情熱を傾けられました。そう思うと当指導者協会もレルヒ少佐指導のスキー黎明期から110年余り、細い糸でずっと繫がっているように感じます。
 今年9月に、当会の山﨑一正前会長を偲ぶ会を執り行いました。
 山﨑前会長は、初代福岡孝行氏から田英夫氏、阿部雄三氏と数えて4代目の会長でした。山﨑前会長もヨーロッパに憧れ、オーストリアに足繫く通って国立スキー学校のフランツ・ホピヒラー教授やシュテファン・クルッケンハウザー教授と知り合い、その関係からリッチーベルガーさんに長年指導者協会のテクニカルキャンプで指導をしていただいているところです。その山﨑前会長は、いつも「人生もスキーも楽しくなければ・・・」と言うのが口癖でした。
 憧れのオーストリア国立ブンデススキーハイムで日本人としては戦後初めて国家検定スキー教師の資格を取得した杉山進さんは「杉山進スキースクール」を立ち上げるのに際して「まず楽しく、そして美しく、最後に力強く」という標語を掲げたそうです。共感を覚えました。とても良い言葉です。私達スキー指導者として、「まず楽しく・・・」は、大切にしたい言葉だと思います。
 スキーストックのメーカー「シナノ」がかつて欧州市場開拓に挑戦したが失敗したことがある、という記事がありました。失敗の原因を辿ると、日本人とヨーロッパ人のスキーに対する志向の違いがあるようです。日本では、スキーの細かい技術や正確性にこだわるスキーヤーが多いのに比べて、ヨーロッパでは純粋にレジャーとして楽しむスキーヤーが大半で、ストックの重心の位置や少ない動きでも振り易いなど、シナノが重ねた細かな工夫を求めるニーズはなかったということの様でした。日本人の技術へのこだわりの結果でしょうか。
 長岡外史中将は、レルヒ少佐からスキーの指導を受けたとき、軍隊への組織的導入と同時に民間への普及・発展の重要性を喝破した人物でした。
 私達はスキー指導者として、スキー場にかつてのような活況を取り戻すにはどこを目指したら良いのか、一度立ち止まって考えてみたいと思います。

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